インドネシアの僻地にて緊急取材を行いました。
今回は放送されなかった、取材の裏話をお届けします。

今回の取材は、インドネシア。
首都ジャカルタから飛行機で2時間強、車に乗り換えて8時間の場所へ直行。

取材対象は「隕石」。
全く場所が不明の段階から、隕石を拾ったインドネシア人の家を探し出して、取材に向かいました。
[ストーリー]
インドネシアの北スマトラ州に住むジョスア・フタガルンさん(Josua Hutagalung、33)は、妻と3人の息子を養うために棺桶を作る職人として働いていた。そんなジョスアさん家族に大きな転機がやってきた。
今年8月のこと、ジョスアさんはいつものように家の前の通りで棺桶を造っていた。すると突然、家の屋根の軒を突き破って何かが地面に激突した。誰かが石を投げつけたのかと思ったジョスアさんだが、落下してきたものは宇宙から飛んできた隕石だと結論付けたようだ。ジョスアさんは当時のことを次のように振り返っている。
「家の前で棺桶を造っていたら、ドーンという音が聞こえて家が揺れた感じがしました。なんていうか木が倒れたような感じだったんです。落ちてきた隕石は地中に埋まってて手で取ろうとしたのですが、熱くて触れなかったんです。そこで妻が鍬で掘り起こして、それを家の中に運びました。」
ジョスアさん宅に落下した隕石は2.2キロほどの重さで、彼の手より一回り大きい塊だった。地元の人達は隕石を一目見ようとジョスアさん宅に集まり、噂はバリ島に住む隕石の専門家でアメリカ人のジャレッド・コリンズ氏(Jared Collins)の知るところとなった。
コリンズ氏は隕石を購入するため、ジョスアさんのもとを訪ねることにした。なおジョスアさんが見つけた隕石はCM1/2炭素質コンドライトという種類に分類され、これには生命そのものの誕生に必要な原始的な元素が含まれている稀な種類とのことだ。また隕石は45億年前のものと見られ、その価値はなんと185万ドル(約1億9200万円)という。
当時、飛行機に乗ってジョスアさんのところへ向かおうとしたコリンズ氏の携帯電話は、隕石を購入したいというコレクターからの連絡が相次いだ。この時コリンズ氏はできるだけの資金を用意してジョスアさんに会いに行ったと言い、こう話している。
「隕石を自分のために購入するか、それともコレクターか研究者と共同で購入するかを迷っていました。とりあえず資金を集めてジョスアさんに会いに行ったのですが、彼は結構抜け目のない交渉人でしたよ。」
コリンズ氏は無事に取引を済ませ、ジョスアさんは大金を手に入れることとなった。彼は棺桶職人を引退するというが、お金の一部は地元に教会を建てるために使う予定とのことだ。
ジョスアさんはメディアのインタビューで「私は日頃から娘が欲しかったんですが、この幸運は娘ができるサインなんじゃないかと思ってます」と語っている。
[実際の状況は?]
取材を進めると、記事と実際は違うということがわかってきました。
ジョシュアさんが拾った隕石が1億9千万円という価値があると知ったのは、ジョシュアさんがブローカーのコリンズさんに売ってしまった後のこと。
コリンズ氏はバリ島に住み、アメリカの隕石研究家にその隕石をすでに譲ってしまったという。いくらで譲ったのかは本人に確認をしても教えてはくれなかった。
質問に対してあやふやな答えを繰り返すコリンズ氏。
300万円ちょっとでコリンズ氏に隕石を譲ってしまったジョシュアさんは、疑心暗鬼の中、多くのマスコミに取材を受けることになる。

フェイクニュースなのかリアルなのか?何れにしてもジョシュアさんは億万長者にはなれなかった。
今も自宅で自営業を営むジョシュアさん。

今では2人ともメディアの取材は受けたくない、と取材に応じてはくれなかった。
隕石で一躍有名になった村は今日もいつもの日常が営まれています。

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